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俺の妹がこんなに可愛いわけがない
~インフォメーション~
夏海紗音と不思議な世界1


感想

「ほら。あたしの身体でも見て元気出しなさい」

事前情報は一切無しの購入です。
これを知ったのは、大手の情報サイトで記事になっていたから。
ファンタジア大賞を受賞したから、とかそう言うのは別に気にしません。
普段なら周りの評判をなんとなくでも見てから買うかどうか決めるのですが、どうやら新人さんの新作ということで、あんまり取り上げてるサイト等も少ないだろうなぁと思ったのもあり、まぁぶっちゃけて言えば表紙買いです(笑)
表紙をパッと見て可愛かったので、他の買い物のついでに一緒にレジに持って行ってしまいました。

で、どんな作品かと言いますと。
背表紙にあるあらすじの最初がこれ。

「あなた、うちの隊員にならない? なりましょうよ-----ていうか、なれ! 探検隊員ただ今、ボシュー中。未経験者OKよ」

これだけを見てもなんとなく頭に浮かびますよね、あのSOS団の団長が。
でもこちらは団長ではなくて、マリンブレード号の船長です。
や、そうは言っても肩書きが違うだけで、ほぼハルヒと同じ感じのヒロインです。
何が同じって、その特殊能力が。

と言うことでここからはちゃんとしたあらすじ、と言うか詳しいストーリーを。
例の如く完全にネタバレなので、そう言うのが駄目な人はすぐにお戻り下さい。
でもここには書いてないことも多いので、ちゃんと本編を読むことをオススメします。



主人公の名前は凪沙悠馬(なぎさゆうま)。
そして船長ことヒロインの名前は夏海紗音(なつみしゃのん)。
2人とも中学3年生、時期は高校入試が終わった頃。

遅刻ギリギリに間に合うのを諦め、ゆっくり歩いていた登校途中、駅前広場のベンチに座っている紗音を見つける。
<探検隊員、幕集(まくしゅう)中!>と汚い字で書かれた手作りの看板を持っている紗音。
声をかけてみると、太平洋に虚島(うつろじま)を探しに行く探検隊の隊員になれと言われる。
船を持っていると言う紗音の言葉を疑うと、見せるから着いてこい、と。
自転車で20分ほど漕ぐと、海が見えてくる。
しかし悠馬が住んでいる夢前市には海はないはずだった。
そこには立派な船舶があり、紗音の所有物だと言う。

二人は同じ中学らしく、昼休みになって登校する。
クラスこそ違うものの、同じ中学なのに今までお互いを知らなかったのが不思議に思いながら。
悠馬がクラスへ入ってみると、知り合いが一人もいない。
友達がいないというわけではなく(実際にも友達はいないらしいが)、完全に知らない人なのだ。
職員室に行っても知ってる先生はおらず、学校に知ってる人はいなかった。
居場所がない悠馬は学校を飛び出し、自宅へ。
しかし自宅どころか周りの家さえも、全て表札が違う物だった。
インターホンを押してみても、やっぱり知らない人。

近くの空き地に居た老婆の話によると、二つの平行世界が重なった重複世界だという。
悠馬がいる世界と、紗音がいる世界は元々違うもの。
それが重なって出来た世界。
形としては、悠馬が紗音のいる世界に引き込まれた。
その理由は、紗音の持つ<指向性万有引力>によるもの。
無意識のうちに紗音が自分の欲しいと思う物を引き寄せているのだと。
悠馬が元の世界に戻るためには、紗音の願いを叶えるか、紗音を殺すしかないという。

行き場のない悠馬は紗音の家に世話になることに。
両親がいないことを不思議に思って尋ねてみると、母親は小さい頃に、父親は2ヶ月前に死んだという。
紗音の家には見慣れない物があった。
<針のない羅針盤>。
船の中で見つけたという。
元の世界に戻るため、紗音の願いを叶えるために、太平洋での探検に着いていくと言う悠馬。
本気だと分かった紗音は、探検隊のメンバーに悠馬を加えるのだった。

船のことに関して全く何も知らない悠馬は、訓練から始める。
悠馬の指導役には、探検隊のメンバーである桜波(さくらば)ミズキが充てられた。
女性とも男性ともとれる顔立ちの、似たような年の男の子。
5年前に虚島に行ったことがあると言う。

出帆の直前、波止場で休んでいた悠馬の前に黒い車が何台も止まる。
出てきたのは黒眼鏡にスーツの男達。
その中から出てきた女の子は悠馬に声をかけ、紗音はいるかと尋ねる。
女の子の名前は海鶴来琴菜(みつるぎことな)。
紗音の探検の出資者であり、紗音の友達であり、海鶴来財団の総帥でもある。
ライバル会社にはキャメロット社という会社があり、ミズキの父はそのキャメロット社の貨物船の船長だった。
<羅針盤>を見つけたのもミズキの父だった。

出帆してしばらくすると、一隻の船が見えた。
何者かに襲われたらしく、人はいないようだった。
船内を捜索すると、一人の少女が居た。
どうすることも出来ないので、一緒に連れて行くことにする。
日本人ではないようだが、日本語はとりあえず通じているようだ。
名前を聞いても答えないので、みるか、と名付けた。

海賊に狙われたり、八丈島での中継を経て、航海は続いていた。
しかしある夜、寝ている悠馬をみるかが叩き起こす。
半透明の女の子を見つけたと言う。
そして琴菜は怪物を見たと言う。
隊員全員で船内を捜索していると、船長室でロボットを見つける。
目的は紗音の持つ<羅針盤>。
紗音を助け、<羅針盤>を取り返した悠馬は逆にロボットに襲われる。
ピンチを救ったのは一人の幽霊の少女だった。

少女に名前はあるらしいが、教えてくれない。
マリンブレード号の初代船長らしく、「初代」と呼ぶように言われる。
200年以上も前に殺されたらしいが、現船長である紗音を守るために現れた。

みるかちゃんが<羅針盤>を手に取ると、一筋の光が現れる。
どうやら虚島へと導いてくれるようだ。
初代の力を借りて、みるかちゃんがいた船からもらってきた金庫を開ける。
中に入っていたのは紙の束。
言語は不明だが、ミズキが訳せるという。

ミズキの訳により、虚島のことが分かった。
みるかちゃんが何者なのかも。
そして紗音は自分の<引力>を自覚することに。

潮に流されたり、紗音の父親、夏海俊介が乗っていた船に出会ったり、キャメロット社の艦隊に襲われたりしながら、ついに虚島へとたどり着く。
宝の山もすぐに見つかり、その日はお祝いの宴会となった。
夕食後、悠馬を始め隊員達が急に意識を失う。
気付いたときには大変なことになっていた。

実はミズキが敵だったというのだ。
紗音とみるかちゃんを人質に、島にある万魔殿へ向かったという。
隊員の中にもスパイが5人おり、船に爆弾が仕掛けられていることから紗音がすぐに降伏した。
紗音を助けるため、初代に助けられて唯一動ける悠馬が島へと向かう。
ミズキとの戦闘を経て、紗音を助け、伝説の通りに島は沈もうとしていた。

気付いたときには病院の一室だった。
目の前には自分の母親がいた。
つまり元の世界に戻ってきたのだ。
眠りにつくと、夢の中で紗音の居る世界へとたどり着く。
自分の<引力>がなくなってきたことに気付いた紗音は、悠馬との別れをするのだった。



読み終わってからネットでの感想とかを見てみると、あまりよろしくない感じでした。
能力がハルヒと同じだとか、話の展開がないとか。
私としてはそこまで気にはならなかったと言うか、個人的には気に入った作品だったんですけどね。
確かに能力はハルヒっぽいですが、紗音が自分の力に気付くことと、その力が弱まってしまうことがハルヒとは違う点ですね。
でもどうせならこの力を「何でも手に入る」のではなくて、「人物だけ手に入る」ものにすれば良かったのかも知れません。
そうすればまたハルヒの力とは差別化が出来たかも。

話の展開としては、確かにもうちょっと何かあっても良かったかもです。
虚島にだって簡単にたどり着きますし、財宝もすぐに見つかるし。
ミズキの裏切りにはちょっとだけ驚きましたが。
でも全体として、特にトラブルもなく話が終わってしまったかな、と言うのはありますね。

あと、船舶に関する描写がやたらと出てきます。
まぁ当然と言えば当然なんですが。
しかも本格的に書かれてるので、私のように船に関する知識が全くない人間だとちょっとだけ苦労するかも。
や、言ってることはなんとなく分かりますし、本編を読むのに問題はないんですけどね。

この話のテーマは、多分「孤独」でしょう。
悠馬がミズキを気に入る理由にもありましたが。
どうせ人に嫌われるからと言う理由で人との関係を望まない悠馬やミズキ、そして紗音、初代。
紗音が「寂しい」と思わなくなったことが力を失った理由ですからね。
集団生活での探検というのを通して、ミズキはミズキで自分の目的を果たしましたし。
ただ悠馬や紗音、初代が、少しずつ仲良くなっていくと言う描写がもっとあればなぁと思いますね。
悠馬と紗音がお互いを好きになると言う理由が少なかったかもです。
そうじゃないと紗音が「寂しい」と思う理由が減っていくことにならないですから。
ただまぁ、紗音が、悠馬がいないことを寂しいと思えばおそらく<引力>は発揮されるでしょうから、次からはまたそう言う理由で会うことになるのかな?
最後のエピローグで2人が偶然出会ったのは、2人ともが「寂しい」と思ったからでしょうね。
タイトルには「1」とあるので、おそらく次巻以降もあるんでしょう。
と言うか私としては読みたいですけど。
作者の後書きでは全く触れられていなかったですが、多分あると思います。

この作品は…そうですね、ラノベ慣れしてる人や、色んなアニメや漫画を見ている人には少しつまらないと思うかも知れません。
特にハルヒを好きな人にはあまりオススメ出来ないかも。
現実が面白くないなぁとか思っている人にこそオススメ出来るような作品ですね。
登場人物達のように、自分は友達が少なくて孤独である、と思う人にこそ読んで欲しいと思います。

作者の後書きで強調されてましたが、この作品は『ミニスカートと太腿』です(笑)
あと、個人的には興味をそそられる表現がいくつか。
例えば初代と紗音の掛け合いで、

「離れなさい! このレズビアン!」
「あなたが引き寄せてるんじゃない。ああっ、いいわ! すごくステキ!」
「やだ! ちょっとどこ触って!? ダメ、そんなとこ-----あんっ、あっ!」

とかあります(笑)
他にもいくつかあるので、色々と想像できますよ(笑)

あ、私のように絵で決めて表紙買いするというのは良いと思います(笑)
イラストは水沢深森さん。
私は初めて見た人ですが、イラストは結構可愛いです。
登場人物も可愛いので、キャラ萌えしたい人にはオススメです(笑)

と言うことで、続編に期待、な新作でした~。
テーマ:ライトノベル   ジャンル:小説・文学
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